こんばんわ ゆるゆる蒟蒻です

先日(昨年の12月でしたが) 普茶料理の梵に行ったお話は書きましたが 普茶料理 梵 に参る 

今回もお客様をお連れして 普茶料理の梵 に行って来ました。

前回はお昼でしたが、今回は御夕飯を頂きつつ、お招きした方が多少お茶にも興味がオアリトノ事だったのでふつつかではありますが、ワタクシメが御夕飯の後で一服差し上げると言う形でちょっと変則的な茶事を行ってみました。

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< 台東区竜泉にある 普茶料理 梵 >

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< 先ずは桜茶と梵字の書いてあるお干菓子を >

季節柄、冬から春へと変化をする今日この頃 少々寒さも残りつつ桜の花を愛でるのは日本人ならではの共通認識でもあるし、美意識の一つでもあるでしょう。

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< 小栟(しゃおぴん) : 前菜と言う理解で良いかと >

今回は、麩を煮てハマグリの様にした「蛤麩」 湯葉で作った「蝶」 そして桜の花の押し物

普茶料理or精進料理と言うと山芋を使った 「精進鰻」 が一つの力作でもありますが、このように湯葉や麩を上手く用いて実際の食感と味に近づけてあるのは、そこにこそ人間の叡智の現れと思うのであります。

そして……美味しいのと美しいのに心を奪われて……梅酒が付いていたのを写し忘れておりました(w

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< 澄子(しゃんつ) : スープと言う理解で >

以前の 「普茶料理 梵 に参る」 でも触れましたが

「椀物」と言うのは懐石料理では一つの ”華” でもあるわけですが、料理全体の流れから考えるならば、これからメインを食する際に否が応でも期待を高鳴らせるプレリュードたる位置付けでもあるわけです。

そういう意味で出すぎてもいけないし、かといって印象が残らないものでも宜しくないと言う部分でもあります。

ましてや? 今回は”一応茶事の流れ”的な要素もあるので 本当の主役はその後の「濃茶」にあったりもするので、尚更にその立ち位置たるや悩ましいものを抱えつつ

しかし……今回の 「弥生椀」は、まぁこれまた見事なもので 新ジャガイモをベースにした何とも見事なスープ仕立て(お吸い物)。 この消え去るような朧の様な有り様と、しっかりしつつも舌の上でサラサラと消えて行く感じが非常に日本的……

しかもこれはジャガイモ?と言われなければ トウモロコシの上品なスープを飲んでいるかの様な錯覚すら覚えるところ。

無論、これは食の和洋折衷化の一つの形でもあるかと思いますが、もう一つは海外からのお客様も多くいらっしゃる中で、少しでも洋風なものの片鱗を感じてもらいつつ和食を味わってもらいたいと言う、まさに”オモテナシの心”の具象化でもありましょうか。


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< 豆腐の味噌漬け >

さて? ここで一品 メニューには乗っていないモノが一品運ばれてきました

そう言うサプライズな部分も嬉しいことではありますが、それがさりげなくサラっとして頂いた事に喜びを見出しつつも、何より、この味噌漬けが美味い! 
その一事が何よりも嬉しいのであります。

まぁフランス料理などにおける 「チーズ」を彷彿させる 豆腐の味噌漬けですが、これはなかなかに美味しくて……お酒がお強い方などはこれだけでどれだけ日本酒が進むことやら(w


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< 笋羹(しゅんかん) : メインの取り合わせと言う位置付けでしょうか? >

もちろん? 洋の東西と言う事があるので、これをメインのモノと考えるか? オードブルの一つと考えるか? 難しい事を言いだしたら収拾はつかないのかと思いますが……

まぁ 何であれ……美味しいものは全てを許すと言う事だけは確かだとおもいますが(w

春の吉野山を模した、料理の数々であります。

和食(懐石)もフランス料理も、一皿それ自体が芸術たるべきと言うのはこの二つの料理の根底に横たわっている大きな ”思想” でもあるでしょう。 そして、この思想だけが独り歩きするわけでは無く、「料理である以上は美味しいことが大事!」と言う事もまた重要な真理として内在されているかと思います。

それを充たしているのが、この一つの空間でありましょうか。

吉野の山に横たう古木をイメージした中に、苔むす緑の中に咲く桜の花………

古来より和歌に詠みこまれる吉野の存在を、いま、ここに居ながら理解をさせてくれるような一皿……

そういう意味で、この笋羹(しゅんかん)は メインディッシュの一皿たるに足る存在と意義を持っていると思うのです。

主題を理解する(理解させる一品)………それこそが、単に美味しいと言う事だけでは無く、芸術と言う高みにまで昇ろうとする事に必要な要素ではなかろうか?と

真ん中の古木は「桜餅」を また生麩で桜の花を見立てつつ

義生豆腐(豆腐の寄せもの)が小鉢の中に

ワカメで緑を演出しつつ、椎茸のお寿司と蕗の薹と青こごみを


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< 野菜のお刺身 >

この笋羹(しゅんかん)の後で、もう一品、メニューに載っていないモノが。

新鮮な野菜で作られた ” お造り ” 

そう? 料理において数々の技法はあれど、生のまま頂くと言う事は料理の一歩でもあるし原点でもあるでしょう。それは、素材が直接口に入ると言う点でなんら捻りも誤魔化しも効かないと言う事でもありますが、この野菜のお造りは、そう言った料理の原点に迫るものであります。

実は今回お招きしたお客様は、食事についてアレルギーをお持ちな方だったのですが、それでも食事について非常に関心が高い方でもあったので……はて? この様な方に楽しんで頂くには……と頭を絞ってお連れしたのがここ 「梵」 だったと言う事なのですが

無論? お店の方もアレルギーをお持ちの方が良くお見えになると言う事はあったかとおもいますが、事前の予約の段階から色々とご相談に乗って頂いて本当に助かったな……と…(匿名のブログではありますが、ここにてお礼を差し上げたいと思います)。

昨今、外国の方がと言う事を前にも触れましたが、外国の方をお迎えするにあたっては、料理の味と言う事もともかくも、日本とは違って宗教上の禁忌と言う事もあるので、そういう意味でのベジタリアン的なフードと言う事で普茶料理(精進料理)が考慮のの一つに上る事も多いようです。(実際に当日も外国のお客様が何組かおられたようです)

そんな、当方の事情を汲んで頂いたのか……先程の豆腐の味噌漬けや、この野菜のお造りなどを出して頂いてお客様に少しでも喜んでいただこうと言う心遣いを頂いて非常にあり難い事しきりでありました。



< 雲片 : 野菜の葛あん仕立て >

と……ここで 雲片(うんぺん)と言う野菜を葛あんでとじたものが出てくるのですが……

まさかの写真が……無い?と言う事で御許しを……(写真は前回の 普茶料理 梵 に参るを参照してください)

雲片は、なぜにここまで凝った品々が出てくる中での葛あん(けんちん汁)?と言う、いわば不意打ち的な部分がるのですが、要するに禅宗におけるすべてのモノを大事にする……つまり料理の過程で出てくる野菜くずをも一品に繋げる…と言う思想の表れでもあります。

手の込んだ御馳走の中で、さりげなく出される 雲片……その控えめな自己主張ではあるけれども決して小さくはない存在が、まさに禅宗を育てて来た日本の土壌と特質を顕わしている……そんな解釈は裁量権の濫用や逸脱?と言う事にはならないかと思います。



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< 温菜(おんさい) : 懐石で言うところの椀物か > 

慈姑を摺って蒸し物にしたモノと鹿尾菜を合わせたもの。

優しいお料理の数々は食する我々の心をも優しい気持ちにする……それは、ここのお料理を頂くと痛感するところでもります。

料理は栄養であり、美食であり、芸術でもありますが…? 人の心を旨とする……と言う部分があるからこその料理であるかと。

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< 湯葉鰆 : 湯葉で作った擬制鰆 >

これもメニューに載っていない一品を頂戴したのですが

湯葉で作った鰆のニセモノ(似せもの)

前述したように、山芋と豆腐で作る 「擬制鰻」 が精進料理(普茶料理)の一つのメインではありますが……

この湯葉で作られた 「鰆」 も非常に素晴らしい食感と味で、なかなか普茶料理の奥深い部分を感じさせてくれます。

台湾や中国における 素菜料理 も日本の精進料理よろしくアヒルの肉の様なモノを作りだしてくれますが、この鰆も素晴らしい一品であるし、この水準に至らしめた人間の食事への飽くなき想いを実感する部分でもあります。

これは、先程触れるべきだったのですが、笋羹(しゅんかん)にある擬制豆腐の中にアレルギーの物質が入っ
ていると言う事で、お客人には擬制豆腐の代わりに グルテンで作った 「酢豚」が添えられておりました。

個人的には……擬制豆腐よりもその「酢豚」を食べたい……と思ったことはハシタナイのでその場では申しませんでしたが(w 

しかし……その「酢豚」……非常に良く出来ていて……実際には食べてはいないですが…非常に美味しそうな……( これは、懐石料理や精進料理を色々と観て行く中で、最近の禅寺の中でも人気のメニューだそうで……なるほど、それはモットモ!と頷くことしきりでありますw)

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< 胡麻豆腐 >

禅寺と胡麻と言うのは切り離せないと言う事で出てくる一品が、この胡麻豆腐

胡麻が身体に良いと言う事に加えて、胡麻はカロリーが高く、禅寺での数々の作務や修行には結構なカロリーが必要だったと言う事でもあるでしょう。

胡麻豆腐自体の細かい滑らかさと白胡麻の品の良い甘さを堪能しつつ……薬味の山葵がまたアクセントをつけてくれるわけですな


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< 油滋(ゆじ) : 揚げ物 >

所謂、精進揚げと言われる野菜の天麩羅でありますが、ここの蒟蒻の揚げ物を食べると何時も思うのが……「イカ(烏賊)」に似ている? と言う感想……

本来、精進料理ですから……イカ(烏賊)と言うのはあり得ない訳ですが…それでも鰻豆腐や鰆湯葉の様な俗世の生臭に模したものがあるわけですか……この蒟蒻の揚げ物をして 「烏賊蒟蒻」……と言う件があっても良いのではないか?……とワタクシゆるゆるは勝手に「烏賊蒟蒻」と命名して自分で楽しんでおりまする。

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< 醃菜(えんさい) : 香の物 >

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< 素汁(そじゅう)と飯子(はんつ) : 汁ものとご飯  >

食事の終盤にご飯とお汁と言うのは懐石料理の流れでありますが……

しかし……元々は懐石料理は精進料理が由来な訳ですから……まぁ普茶料理ではごくごく自然な流れなのでもあります

無論? 俗な言い方をするのであれば……おかずを食べてからご飯をお新香で食べて~~~と理解をする事もかのうでしょう(w


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< 水果(すいご) : デザート >

デザートを「水菓子」と言うのは、日本独特の美意識に裏付けされている様な気がしますが(?)……

色々と御馳走を頂いて……最後…水分のある甘味で口をすっきりとさせると言うのは、これもまた洋の東西を問わず一つの贅沢であるし……一つの哲学でもあると想うのは私だけでしょうか? ( ヴゥリア=サバラン の水蜜桃を含んで……と言う辺りにそれを覚えますが……w )



と言う事で……お客様も普茶料理を愉しんで頂いて……御満足を頂いたようだったので

饗応役としては、ホッと胸を撫で下ろしつつ……この後…場所を替えて……濃茶を楽しんで頂いた訳です。

( と言う簡略な終わり方ですが w 何で濃茶を練った部分は?と言う感じですが……要するに此処まで書いて疲れた~~~と言う……w )

ま、なんであれ? この普茶料理は、日本の日頃は出てこない美意識や手間と言う事を正面から…さりとて押しつけがましく攻めてくると言う事では無く……感じさせてくれるところなので、個人的には非常に気に入っている料理の一つなのでありまする。

何よりも? お招きした方が満足をしてくださる(決して自分が美味しかったと言う事でなく……ええ?)
場所であり料理である……と言うのが一番にあり難い事でもあります。

「ただ美味しい」と言う事は幾つもあるけれど、料理を通じて、その奥にあるモノが顕現し、それを通じてお互いに何かを共有できる……その様な料理である……と言う事がこの「梵」の素晴らしいお料理であると言う事で今日は締めくくると致しましょう。



今日も蒟蒻ぽちっとな (*´ω`*)
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